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フレイル検出支援システム開発

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フレイル検出支援システムとは

高齢者は身体の脆弱性(フレイル)を経て要介護状態に向かうためフレイルの病態解明とともに、本病態の早期発見は大きな課題となっている。フレイル形成過程では、歩行能力低下が早期から出現することはよく知られている。
医療現場では、歩行能力を評価する方法として時間内歩行試験があるが、本試験は時間内の歩行距離を測定するものであり、フレイルの本態である歩行能力の評価やその病態解明に応用するには限界があった。
そこで我々は、歩行能力を多面的かつ多次元的に測定出来るプロトシステムを開発すれば、フレイルの早期発見、患者ごとの病態解明が可能になるのではないかとの着想を得た。
このシステムの臨床応用を目指し、現在まで無線位置測定機にて歩行距離、歩数、歩幅、歩行速度を、3次元自動測定にて歩行時の体幹振幅、足関節の可動域を各々リアルタイムに自動計測できるシステムを開発済みである。
フレイル検出支援システム完成のための研究方法は以下に示すとおりである。
まず当院通院中の呼吸器疾患患者及びボランティアを対象にa)従来の時間内歩行試験と本システムによる歩行距離測定を比較検討し、本評価法の妥当性を検証する。次にb)従来のフレイルの基準により分類した3群(フレイル、プレフレイル、健常)を対象として、本システムを用いて歩行能力(歩行距離、歩数、歩幅、歩行速度、歩行様式、関節可動域)を定量評価し、3群で比較検討することによってフレイル検出のための有効な指標を特定し、ROC分析を用いて判定のためのカットオフ値を求め、フレイルの早期発見や病態解明に対する同システムの有効性を検証する。
更に本システムの精度を高めるため、c)機械学習を用いて、呼吸器とは異なる疾患においてもフレイルを効率的に検出できる歩行行動認識技術を開発する。
以上a)b)c)の手続きを経て、歩行行動認識技術のモデル化を行う。
本研究は健康寿命の維持や改善のための的確な治療薬の処方や効果判定などの学術的成果に加え、高齢者におけるフレイルの管理効率の向上に寄与する。本システムは、フレイル病態解明のためのプラットフォームになる点ばかりでなく、良質なビッグデータの活用に繋がるといった先進性をもっている。
更に、本システムによって歩行能力からフレイルの病態を定量的に捉えるという独自性により、フレイルの新たな治療戦略創出や本病態の解明が可能となり、社会的波及効果も期待される。

  2019/06/20   admin
Tag:新製品